野良猫チビ太のこと
我が家の庭に、春に子猫が出没するようになりました。その子猫は人懐こくて、私が外に出ると近寄ってきます。鳴き声が変わっていて、ニャー、ではなくて、ムー、と鳴きます。結構小さいうちに親から離れてしまったのか?一人ぼっちです。
そして窓越しに、トラの姿を見て親しそうに鳴きます。大きな猫を見て、親を思い出しているのか?
いつしかかわいそうになって、チビ太と名前を付け内緒で餌を与えるようになりました。チビ太はますます我が家に懐いていきました。
時々、トラが隙を見て玄関に宅配の人が来たときやサッシの網戸をこじ開けたりして、脱走することがあると、チビ太は大喜びしてトラにじゃれついていきます。
トラの方は、別段怒る様子もなく、何するんだよう、という程度のあしらい方で、喧嘩にはなりません。チビ太はトラの後をついてまわります。
これが他の猫の場合、威嚇してフーッと怒り、ギャウギャウ!と本気の戦いになるんですが、トラはそんな本気の喧嘩をしたことがありません。しかも去勢しているので、そういう血気盛んな部分は半減しているようです。
というわけで、チビ太はトラのことを慕うようになります。
夏も過ぎ、チビ太は段々と身体も大きくなってきました。冬になる頃には冬毛のせいもあってかムックリと太って、堂々とした大人の猫らしくなりました。
トラのおかげで猫好きになった夫が、冬を迎えるチビ太に、建築用の断熱ボードとダンボール箱を使って、チビ太の家を作ってくれました。
すっかり我が家の外猫になってしまったチビ太です。